UNESCO

ユネスコ登録に
向けて

日本弓道具協会は、日本の「弓道具の文化」を国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録を目指し推進活動を行っております。

TOWARD UNESCO 01

活動員

活動員

石坂 全(大洋弓具製作所) / 横山 慶太郎(横山黎明弓製作所) / 松延 晋作(松延弓矢製作所)

オブザーバー

千葉 知之(全日本弓道具協会会長 千葉弓具店) / 平井 常雄(ヒライ弓具) / 塙 将一(小山弓具)

TOWARD UNESCO 02

活動の目的

職人たちの仕事の環境整備

1. 職人たちの仕事の環境整備

弓の材料では竹や、ハゼなどの木材が、国内の林業の衰退での影響を受けています。
山に入る人が少なくなり、その結果土砂災害の危険を予測しにくくなったとのニュースが流れておりますが、 木はあっても森林を管理する人が少なくなれば、いい木材は手に入りにくくなります。 また、矢羽については、古来より使用されてきた猛禽類の羽根が、国際条約で取引制限され、使用が厳しくなっています。 将来個体数の回復に伴い、指定が外れ、使用可能になる可能性もありますが、時期が読めません。 逆にさらなる厳しい規制がかかる可能性もあります。
鹿革は、中国で生産していましたが、近代化と工業化に伴い、養鹿業の担い手である若者が都市部へ流出し、 日本でも皮革業者の廃業に伴い、素材を入手することが困難になってきました。
麻繊維も取引制限で入手しづらくなる等、条約や国内法等環境の変化によって国内の農業従事者などが打撃を受け、 生産者の廃業が後を絶たず、後継者不足により、供給が不安定になっています。
今は何とか繋いでいる状態ですが、20年後、30年先を見据え、1000年以上続いてきた職人の仕事を継続していくためには、 それぞれの分野だけではなく、包括的な環境整備を模索しなくてはなりません。
その環境整備を目的として、国際的に加盟国に対し指定文化物の保護と継承を促すユネスコ無形文化遺産を活用して行きます。

後継者不足の解消

2. 後継者不足の解消

弓道具の材料は扱いにもノウハウが必要で、物を作り続けていないと職人の技術が衰退する原因になります。 そのことが将来への不安につながり、若い人たちの参入の障害になり、後継者問題へもつながっていきます。
その結果、職人の高齢化、技術ノウハウの伝承の不安定化を招いてきました。
無形文化遺産に採択されることにより、伝統は途絶えることがないという安心感のもと、仕事を続けられるようにしたいと考えております。

国際化によるルーツ変遷への対応としての情報発信

3. 国際化によるルーツ変遷への対応としての情報発信

弓道具とは角度の違う話ですが、弓道に興味を持つ外国人の増加に伴い、諸外国からの弓道への参入が相次いでいます。
外国人の参入による環境の変化で今後注目するべきことは、外国の影響を受けることにより、本来の武道の姿と変質していく可能性があることです。
弓道の独自性を守りつつ、時代に合わせて伝統を継承してゆくためには、弓道具の使い方、 所作、射法とはこういうものであるという基本部分を、日本の側から発信する事が必要です。

国内行事の存続

4. 国内行事の存続

将来、万一職人が仕事を続けられなくなった場合、これまで続いてきた弓具を使った神事への影響が考えられます。
有名なところでは、流鏑馬、鳴弦の儀、大相撲の弓取り式で使う弓に至るまで、各種弓道具を使った行事の存続が危ぶまれることとなります。
例えば、平成25年執り行われた伊勢神宮の式年遷宮に際しても、弓道具の奉納が行われておりますが、 矢に関しては、使用できる素材が限られ、次回の奉納が危ぶまれています。
国際的な文化財保護条約を活用する事により、受け継がれる伝統を途絶えさせることなく、 未来へ守り伝えてまいります。