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弓道具を知る

2019.01.24

   

ゆがけの製作について(3)

のり

ゆがけは「革と糸とのり」で出来ています。一般的なゆがけには化学のりを使用しますが、特注品の弽には、伝統的に使われている昔ののりを使用しています。こののりは、作るのに手間とひま(時間)がかかります。それでも、こののりを使うのには理由があります。(博物館で、美術品・工芸品等の補修や修理等に、こののりが使用されます)
この伝統的なのりは、米粉を煮て、練って、長期間寝かせて熟成させて、のりにします。熟成されたのりの上には、カビが生えます。そのカビをめくると、水のようにスーっと落ちる程になったのりが出来上がっているのです。こんな水のような物が…と思うくらいです。
そののりを板に取り、練り直して使います。のりの接着力はすばらしく、また、とてもしなやかで、しっとりと、化学のりとは全く違うのりです。
先人の知恵、伝統のすばらしさを感じる、驚きののりです。

 

弽とのつきあい方

新しいゆがけは、慣れるまで長い期間が必要と言われておりました。現在でもそう言われる方がいます。
現在のゆがけは、作り方や工夫によって、短期間で慣れ、楽に使用できるようになっています。
弓道具は何でも大切ですが、中でも弽は、射に最も関係が深く、重要です。慣れた弽は、自分の手と同じように、具合が良く、射に矢数がかかっていればいる程、また、上手であればある程、射に変化が少なく、すばらしい弽となります。他の弽に換えることが困難です。しかし、ひとつのゆがけだけ、酷使していては、修理さえも不可能な状態になります。
日頃より、数個のゆがけを使用し、慣らしておけば、一番のゆがけに何かあった時、そなえていたものが役に立ち、慌てずに済みます。

 

(大敵)

ゆがけは、湿気が大敵なのです。特に、汗はゆがけを痛める大きな原因なのです。(汗には、水分・塩分が含まれ、革を痛めます。)
燻革は、稲わらに含まれるヤニ(油分)を、革の繊維に浸透させ、革が汗を吸い込んだ時にヤニで汗をはじかせています。

 

(してほしいこと)

・ゆがけに風を通し、湿気がこもらないようにしてください。
・日光に当てず、陰干しをしてください。
・ドライヤー等を当てて、革を乾燥させ過ぎにしないでください。革が固くなり、使いづらくなり、革の性質が変わります。