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弓道具を知る

2019.01.24

   

的矢について(2)

■矢の節の呼び名
四節のものは図のとおりであり、三節のものでは射付(いつけ)、箆中(のかなか)、押取(おつとり)節といいます。五節の箆に限って、袖すり節の名があります。射付(的矢以外はスゲ節という)、袖すり、箆中、押取り、羽中(はなか)節と呼称しております。

■杉形矢の得失
矢飛び素直で、中りに得。また根元に力を持っているため、折れる心配も少ないといえるでしょう。つり合いは、元が重くなるので、総体つり合い上、羽は幅広にすることになり、飛びが素直である反面、やや鈍い失は免れないでしょう。

■一文字の得失
押取節のあたりまで、力がやや平均しており、離れに多少の無理があっても、押取節の力によって矢の復元が早いので、我が力に勝る弓を射た時、また初心者に得。さらに、物に中って貫く力が強いなど得。反面、飛びは多少鈍くなります。

■麦粒矢の得失
元と末ほどよく分落ちして、総体の張りをもたせ、飛びも素直であって、鋭く軽い。いわゆる味のよい飛びなどの得。反面、初心者には失が多いでしょう。

■竹林矢の得失
竹林派の射手が好んで使います。飛びの速いことを重んじた矢であり、軽矢が多い。そのため、弓から離れる時、多少無理がかかりますので、押取節のあたりの力を充分考え、胸腰の調和、羽との関係などよく考えて作ったものでない限り、的矢としては失が多いでしょう。

■矢飛びの味
飛びの味、極めて曖昧な言葉ではあるが、矢作りにはもっとも重要なことであって、如何にしてこの味を出すかが、なかなか会得し難いものであります。

弓道で使用する矢は、弾丸のように空気を突き破って進む性能と同時に、空気に乗って飛翔する性能が要求されております。
方向性に対する安定を重視すれば、飛翔性はゼロになり、飛翔性を重視すれば方向性に乱れを生じることになる。方向性、飛翔性ともに、程よく取り入れた調和によって、安定した、いわゆる冴えた飛びの味を得ることになるようであります。

的矢の節の呼称